チェッカーとしての大事な心構え

「翻訳サービス」を提供する際、翻訳→チェック→DTPといった工程を経ています。
この「チェック」を担当するのがチェッカーです。今回は、このチェッカーに必要な「3つの意識」をご紹介しましょう。

1. 数字の誤り、誤字脱字などのケアレスミスや訳抜け、用語の不統一を見逃さないという意識

クライアントが翻訳成果物に対して、クオリティの高さを期待されるのは当然のこと。そして、翻訳成果物の印象を決定的に悪化させてしまうのが、ケアレスミスの多さです。もちろん、翻訳者も人間ですので、ケアレスミスが全くないとは言えません。だからこそ、チェッカーの作業が重要になってくるのです。こうしたミスの洗い出しについて何よりも重要になるのが、「ミスを見逃さない」という意識なのです。
現在では、各ツールやソフトウェアに様々なチェック機能があります。数字の誤りや誤字脱字、ちょっとした文法の齟齬や訳文のブレ、用語集との用語の違いなど、チェックできる項目は多様にあり、それらをうまく活用すればミスの少ない訳文に限りなく近づくことができます。ツールの使用により、チェッカーの作業の負担を軽減することができることは間違いないでしょう。
ただ、道具は使用者の意識を反映するもの。どんなにすぐれたチェック機能も、それを活かして「ミスを必ず見つけて直すぞ!」という意識がなければ、せっかく検出した誤りも見逃してしまうかもしれないのです。
「ミスを見逃さない」を常に意識してみましょう。

2. 誤訳や分かりづらい表現を見逃さないという意識

誤訳を見つけるのはなかなか大変な作業です。その際に重要となるのが「違和感」ではないでしょうか。訳文をチェックしている際に感じた違和感は決して放置せず、その場でいったん立ち止まって原文に戻り、必ず見直しを行ってください。その個所は、おそらく読み手も違和感を抱くところだからです。
また、翻訳成果物の最終的な読み手が一般の方であるのか、または専門分野の方に限られるのかによって表現や語彙も変わってきます。たとえ翻訳対象の専門分野に精通した翻訳者の訳文でその分野では馴染みのある表現だとしても、読み手が一般の方である場合には非常に理解しにくいものになることがあります。そのため、原文になくても「読み手が分かりやすいように校正する」意識を持つことが大切になります。
想定される読み手の立場に立って訳文を読んでみる、そして少しでも引っ掛かりを感じたところはまずは疑ってかかる。そうした意識が、目の細かいフィルターとなって、誤りを検出してくれるのではないでしょうか。

3. 翻訳者とクライアントをつなぐという意識

チェックを進める際、翻訳者に対するフィードバック、さらに必要に応じてクライアントにお伝えする申し送り事項について要点を絞ってまとめていくことも重要です。チェッカーの視点から、訳文についてどのような所を特に注意したのかなど、クライアントにお伝えすべき申し送り事項を簡潔にまとめると、クライアントへの印象がグッと変わってきます。
翻訳者の意図を汲み、どのような方向性で訳文を修正したのか、その着眼点を翻訳者とクライアントの双方と共有することで、共通の方向性を見出すことができます。それぞれとコミュニケーションを密にとることで、互いの視点をつなぎ、よりクライアントの要望に沿ったチェックができるようになるでしょう。チェッカーとして、翻訳者とクライアントをつなぐ立場にあるという意識をもってみましょう。

いかがでしたでしょうか。
今回はチェッカーに必要と思われる「3つの意識」をご紹介しました。
もちろん、それ以外にもチェッカーとして大事な点は色々あるでしょう。ただ、この3つの意識を持つのと持たないのとでは、かなり結果が異なったものになると言えるのではないでしょうか。
チェッカーの心構えとして、ぜひこうした点を意識してみてください。