ボッシュ自動車ハンドブックの楽しみ方
~自動車のセンサー編~
前回は車線アシストシステムについて簡単にまとめてみましたが、今回は「現在走行中の車線を維持する」、「危険回避など何らかの理由で車線を変更する」ためには、車両自体がどのような物理的な状態にあるのか、またその中で車両が実際に走行している環境はどのような状態(状況)にあるのかを正確に把握するために欠かせない「センサー」をご紹介しましょう。
現代の自動車には、車線アシストに限らず、安全性、快適性、あるいは操作性向上の目的で、さまざまな電子デバイスが組み込まれ、高度な制御が行われていることはすでにご存じかと思います。こうした高度な制御は、車両と制御環境の情報を収集する精密なセンサーがあって、はじめて可能になることです。ボッシュ自動車ハンドブック日本語第4版でも、「自動車のセンサー」の章に多数のセンサーが説明されています。
自動車用のセンサーは、取り付け場所によっては非常に厳しい条件にさらされます。具体的には、振動や衝撃などの機械的応力、天候の影響、飛散水の影響、燃料・エンジンオイル・バッテリー液などの化学的影響、電磁波の影響、といった様々な影響を考慮する必要があります。
自動車用センサーに対する精度要件は、プロセス産業に対するものより低く、許容誤差は一般に測定範囲の上限値の 1%より大きなものとなっています。しかしながら、精度への要求レベルは高まっており、この点に関しては「統合型センサー」が大幅な改善を可能にします。統合型センサーは、センサー、局部電子信号処理回路、アナログ/デジタルコンバーター、およびマイクロコンピューターといった複雑なデジタル回路までを統合したデバイスです。
ところで、ちょっと余談です。「センサー」という語は言うまでもなく英語の「sensor」をカタカナ表記したもので、「sense」(感づく、気づく)という動詞に由来します。したがって、「自動車に装備されている多数のセンサーは、運転者の視覚や聴覚では知覚できない種々の情報を伝えるもの」と考えられますね。「センサー」は普段何気なく使っている言葉ですが、「センサー = sensor = sense(感づく、気づく)するためのもの、とはまさにそのとおり」と感心するのは私だけでしょうか?
—- 閑話休題、次回は実際に車両に搭載されている種々のセンサーについて見ていきます。