犬のしつけは何語がオススメ?
2年前に我が家に新しい家族がやってきました。生後2か月のオスのラブラドールです。盲導犬としても活躍している犬種のため、従順でおとなしく、賢いイメージを持っていました。しかし、実際は全く違いました!とにかく、やんちゃでいつでもハイテンション。子犬時代はなんでもかじるため家具やカーペットはボロボロ…と、とにかく大変でした。生後1歳半くらいでようやく少し落ち着きましたが、その頃は既に体重が30kgを超えて力も強く、今度は散歩時の引っ張りで大変苦労しました(実は現在進行形ですが…)。犬も家から一歩出ると、外の世界では普段接することのない人やモノ、状況に遭遇します。「散歩中に犬が突然パニックを起こさず、飼い主の指示を冷静に聞くことができる」、これは犬自身や周りの人を守る上でとても重要なことです。そこで今回は飼い主が愛犬に望む行動を起こすように指示する合図の「コマンド」についてお話ししたいと思います。
コマンドは犬が理解しやすいように「マテ」「フセ」などの短い言葉を使います。ちなみに、犬が一番理解しやすいのは英語コマンドといわれており、その理由から日本の盲導犬は日本語ではなく英語のコマンドを使用しているそうです。では、なぜ英語が日本語よりも犬のコマンドに適した言語とみなされているのでしょうか?
そこには下記のような理由があるようです。
1. 犬のコマンドは統一された短い表現が好ましい
犬はコミュニケーション能力や理解力の高い動物ですが、人間と同レベルの言語能力があるわけではなく(近いと言われていますが)、その言葉が持つ音を聞き分けて物事を識別しているのです。また、犬にとっては4文字程度かつシンプルなコマンドが理解しやすいと言われているため、1つの物事や事象に対して長い表現であったり、いくつもの表現があったりすると、理解どころか混乱してしまうのです。
確かに、犬をその場で座らせたい時に使うコマンドを例に挙げてみると、英語は「sit」のみに対して、日本語では「お座り」「座れ」「座って」など様々な言い方があります。使用するコマンドがいつも同じであれば問題ありませんが、飼い主側もついつい感情がこもって言い方が変わりがちです。その点、英語はシンプルなためコマンド向きなのでしょう。
2. 犬は子音の区別が苦手
聴力が優れているとされる彼らにも、聞き取りにくい音があります。それが「子音」です。そのため、日本語のように「ア(A)」「イ(I)」「ウ(U)」「エ(E)」「オ(O)」を除く音が「子音+母音」で構成された言語の場合、犬には「フセ(FUSE)」が「ウエ(UE)」、「マテ(MATE)」が「アエ(AE)」といった具合に子音が落ちて母音のみが聞こえるので、区別が難しくなると言われています。
このような日本語に対し、英語は母音のアクセントを強く強調する傾向にあるため、犬には理解しやすいのです。
いくつかのコマンドを日本語と英語で比較してみました。
してほしい行動 | 日本語コマンド | 英語コマンド |
---|---|---|
その場に座る | お座り、座れ | sit |
飼い主の元へ来させる | 来い、おいで | come |
その場で止まる | 止まれ | stop |
その場で待つ | 待て | wait |
その体勢を続ける | 待て | stay |
その場で伏せる | 伏せ | down |
咥えたものを離す | 離せ、ちょうだい | give me |
投げたものを取りに行かせる | 取ってきて、持ってきて | fetch |
その場から降りる | 降りろ | off |
飼い主のすぐ横を歩かせる | 付け | heel |
とはいえ、コマンド自体はよく覚えてもなかなか言う事を聞いてくれない場面もまだまだ多く、しつけは飼い主の愛犬に対する愛情と忍耐強さだと感じる日々です。