Twitterよもやま話~各国の祝日事情
2021年3月から本格的に再開したシュタールジャパンのTwitter。おかげさまで無事、2年続いております。皆さまの「いいね」を励みに、少しでもシュタールグループのオフィスがある国々の一面をご紹介し、楽しんでいただけるよう心掛けています。
さて、皆さまもご存知のとおりTwitterは手軽に配信できる利点がある一方で、「文字制限内に収めなければならない」という難しさがありますよね。お伝えしたいことがたくさんあるのに、泣く泣く文字を削り、情報を削除しなければならないことも多々あります。今回は、そうしたTwitterには入れられなかったお話や背景について、文字数を気にせず気軽に綴ってみたいと思います。
さっそくですが、シュタールジャパンのTwitterには、時おり各国オフィスの「休業日のお知らせ投稿」があることにお気づきでしょうか? 世界の国々には独自の暦や宗教行事など様々な理由から、日本人には馴染みのない休日や祭日がたくさんあります。まずは各国の年末年始事情から見ていきましょう。
ロシアは12月にクリスマスを祝わない
ユリウス暦を適用しているロシア正教のクリスマスは、グレゴリオ暦の1月7日。つまり他のキリスト教徒とは異なり、先に新年のお祝いをしてからクリスマスを迎えるのです。旧ソ連時代、無神論を掲げる政府による強い宗教弾圧を受けていた時期は、宗教行事であるクリスマスも良しとされませんでした。そのため、ロシアではクリスマスではなく、大晦日に「ジェド・マロ―ス」と呼ばれるロシア版のサンタクロースが子どもたちにプレゼントを持ってくるとされ、1月1日に家族や友人たちと新年を盛大に祝う習慣が定着しました。
中国・中華圏で最大の年間イベント「旧正月」
最近は日本でも「旧正月」や「春節」という言葉が定着してきたのではないでしょうか。旧正月は、全世界の華人が伝統的に大切にしてきた祝日であり大型連休です。コロナウィルスが流行する前、春節に海外旅行をする華人が多く、日本も人気の旅行先でした。時期は、中国旧暦に基づくため年ごとに日にちが異なりますが、おおむねグレゴリオ暦の1月か2月になります。
春節は中国や台湾だけでなく、韓国やシンガポール、マレーシア、そしてベトナムなどでも国の祝日として制定されています。過ごし方としては、日本と同じく年末に掃除をし、年始は家族で正月料理を食べ、子供はお年玉をもらいます。ですが、中国や台湾などでは日本と大きく異なる点があります。それは、日本では成人になればあまりお年玉をもらうことはなくなりますが、中国や台湾では成人しても独身であれば年齢に関係なくもらえるという点です(いつまでももらえてしまうのは、別の意味で恥ずかしかったり、プレッシャーを感じてイヤだと思う人もいるようですが…笑)。
何はともあれ、お年玉は受け取る人の幸福と健康を祈るものですので、縁起がいいものであることには間違いありません。
イスラム教は新年祝賀よりも、ラマダン終わりと犠牲祭が盛大
改めて調べてみると、イスラム暦(ヒジュラ暦)の新年は、意外とあっさりとしたもののようです。少なくともシュタールグループのイスラム教国は、当日が祝日になる程度です。イスラム教徒にとって、他の宗教や文化圏のクリスマスや正月と同じくらい大切な伝統行事といえば、ラマダン後の「イード・アル=フィトル(断食明けの祭り)」と、「イード・アル=アドハー(犠牲祭)」でしょうか。それぞれご説明しましょう。
およそ1カ月にわたる日中の断食期間が終わると、イード・アル=フィトルの始まりです。体を清めて新しい服を身に着け、特別な礼拝に参加後、家族や友人と断食明けの食事を楽しみます。時には「イード休暇」なるものを利用して旅行に行く人もいます。時期は、こちらも「イスラム暦の第10の月の1日から3日」となっており、グレゴリオ暦とは異なるため毎年時期が変わります。
もう一つの祭りであるイード・アル=アドハーは、イード・アル=フィトルよりも長いため、「大イード」とも呼ばれます。イブラーヒーム(アブラハム)がアッラー(神)の命令に従い、自分の息子を犠牲として捧げようとした意志を称える神聖な祝祭です。人々はモスクで祈りを捧げ、生贄用の家畜を購入し、家族や友人で分け合って食べるだけでなく、貧しい人々とも分かち合うため寄付を行います。また、聖地巡礼の目的でサウジアラビアのメッカに向かうイスラム教徒が多いのもこの時期。カーバ神殿を取り囲む大勢の信者の姿を、写真や映像でご覧になった方もいらっしゃるでしょう。「一生に一度はメッカへ巡礼の旅に行きたい」というのは世界のイスラム教徒に共通する願いです。ちなみに開始時期は「イスラム暦の第12の月の10日から13か14日ごろ」と、こちらも翻訳会社泣かせです(笑)。
いずれも正式な開始日は直前まで決定されなかったり、決定後に変更が出たりするらしく、信仰のためとはいえ大変だなぁと思ってしまいますが、喜ばしい行事であるため文句を言う人はいないのでしょうね。
普段の仕事では「どこの国のどの祝日が納期に影響が出そうか」といった心配が先立ってしまうのですが、それぞれの祝日の背景や人々の過ごし方に目を向けると、その国や地域が持つ文化の奥深さに気づかされます。Twitterをご覧くださる皆さまも、見慣れないお祭りや行事の名前に遭遇し、気になったら調べてみることをお勧めします。コロナ禍で気軽に海外に行けない今、国境が開いた時の次の旅先候補を探しつつ、ちょっとした「脳内旅行」を楽しんでみてください。