校正作業での指示出しのコツ
質の高いドキュメントを完成させるうえで「校正」の過程は避けては通れません。そして、校正作業の指示(赤字)の入れ方次第で、校正後に戻ってくる修正データが満足いくものになるか否かの大きな違いが生じることをご存知でしょうか?
DTPが広く普及した現在、校正担当者がPDF上で校正し、修正作業者に指示を出すことが一般的でしょう。また、指示の入れ方には大きく分けて2つあります。1つはデータにPDF機能で直接指示を入れる場合、もう1つは手書きで入れた赤字をスキャンし、それをPDFにする場合です。
ここではどちらの場合にも適用できる、校正後の修正漏れやミスを減らす方法、そして校正担当者側、修正担当者側双方の手間を省く(作業時間を短縮する)ためのちょっとしたコツを挙げてみたいと思います。
他に同様の部分があるかを確認する
同じ内容なのに、片方に赤字があり、もう片方には赤字が入っていない場合があります。
例えば、しばしば目にするのが、「目次」と「本文タイトル」の相違です。『赤字通りの修正』を原則とすると、指示が入っていない部分は修正できないことになるかと思いますが、修正作業者としては悩むところです。少なくとも確認事項は増えますし、作業を進める順番として、目次に修正指示がなく、本文に指示があった場合には、目次に戻って確認しなければならないという手間が発生します。また、こうした不完全な赤字は何らかの事故の原因にもなります。
時間的に余裕がない場合であっても、用語の統一などにもつながりますので、校正終了後、赤字の部分についてだけでも全体を見直すことをお勧めします。
また、全体の見直しにより用語統一などが発生した場合には、ドキュメントの先頭に一括指示を入れていただければ、校正担当者側、修正担当者側、双方の手間が省けます。
修正担当者への校正指示と、校正者間での確認メモは明確に分ける
複数人で校正している場合、校正者同士の確認事項がPDF上に残されているケースが多々あります。しかし、これにより、修正作業者は何が修正対象に当たるのかが分からず、判断に迷う元になってしまうのです。無駄な混乱を防ぐためにも、対象の文字が、校正者間で交わす確認用のメモなのか、修正作業者に向けた指示なのか、を明示しておくといいでしょう。また、こうすることで修正後のセルフチェックを含めた時間短縮にもつながります。
修正作業者へのメッセージである意識を持つ
校正作業は校正担当者にとっては修正したい個所の記録ですが、同時に校正内容を反映する修正作業者へのメッセージでもあります。修正指示は自分にではなく、他者に向けて行うものなのだという意識を持てば、わかりやすく、読みやすい校正指示紙になるかと思います。わかりやすければ、自ずと修正漏れやミスも減り、その後の作業短縮、時間短縮につながることでしょう。