独日文化の違い~環境問題の視点から~

前回は日本とドイツの小学校の違いについて、お話しました。2回目の今回は環境問題に通じるサービスの違いをお話したいと思います。

皆さんは買い物にエコバッグを持って行きますか。2020年7月1日からレジ袋が有料化したのを機に、日本でもようやくエコバッグが定着してきました。プラスチック製の買い物袋を無料でもらえていたとは、なんて便利な国だったのか、そしてなんと多くのプラスチックごみを出していたのかと気づかされた方も多いのではないでしょうか。
コンビニでお弁当を買えば割り箸やプラスチックのフォークなどが当然のようにもらえるし、街中にはペットボトル飲料の自販機がいたるところにありますね。便利なサービスの一方では、同じくらい環境への負荷があることを忘れてはいけないと思いました。

もちろん、こうした文化や習慣が全て悪い訳ではありません。日本にはまだまだ「おもてなし」の精神に基づくサービスがたくさんあります。飲食店で席につくとすぐに提供されるお水やおしぼり、これらは来店されたお客様に対してお店が感謝の意を込めて提供するもので、日本の商習慣となっています。まさに日本を感じる瞬間です。
今まで日本では当たり前と思っていたものが、世界的に環境問題を考えるようになり、「持続可能な開発目標SDGs (Sustainable Development Goals)」のキーワードの登場とともに、次第に形を変えてきました。いわば移行期に差し掛かっていると言えるのではないでしょうか。

一方、ドイツではもう何十年も前から、3R(Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル))が進んでいました。それは完全に生活に浸透しており、メーカーや企業側の対応が非常に進んでいたと言えるでしょう。
たとえばスーパーで食品を買う時、包装紙の少なさやロットの大きさに気づかされます。
日本では野菜などは同じ量、同じ値段にしてあらかじめ袋詰めされて売られていますが、ドイツに限らず欧米では量り売りが主流です。自分で量りに物を載せ、ピーマンならピーマンの絵のついたボタンを押して値段が書かれたシールを取って自分で貼る。必要な量だけ買うことができるのは買い手のメリットですし、売り手も工程削減ができ、余分なプラスチック包装が省けます。環境に優しいシステムですね。
また、ビールは日本では缶がほとんどですが、ドイツでは瓶が主流です。飲み終わった瓶を返却すると、お金が少し戻ってくるシステムができており、誰もが当然のようにお店に瓶を返しに行きます。水はペットボトルで売られていますが、ペットボトルにも同様のシステムがあります。ペットボトルを返却してもお金が少し戻ってくるなんて、今の日本ではまだちょっと想像できないですよね。

先日、ドイツの友達に日本のポッキーを箱ごと渡したら、あの特殊な開け方がわからず、箱を力づくで破って開けてしまいました。それを見て、日本の商品の付加価値は商品自体だけではなく、凝った包装やデザインも含めて全体にあるんだなと驚きました。
包装を出来るだけ簡略化するドイツと、商品価値を高めるための凝った包装を重視する日本、それぞれの良い習慣や文化を活かしながら、環境問題にも取り組んでいけると良いですね。

日本企業の細やかな心配りやおもてなしの心遣いが、今後、日本だけでなく世界中の環境問題やゴミの削減に貢献してくれることを心から期待しています。